要点
保険会社から「あなたにも過失がある」と言われたら, 問題は単なる印象ではなく割合です。NSW CTPでは共同過失の割合によって, 週次給付の継続, 治療費の扱い, そしてcommon law damagesの最終金額まで変わります。このページは一般情報として, 共同過失がどう判断されるか, どの証拠で割合が動きやすいか, 内部レビューやPICに備えて何を先に整えるべきかを日本語でまとめたものです。
このガイドの考え方
This guide explains NSW CTP deadlines, evidence, insurer decisions and dispute pathways in plain language. このページは、NSW CTPの期限、証拠、保険会社対応、紛争ルートを誇張せずにわかりやすく整理するために作られています。
一般的な情報であり、個別の法的助言ではありません。見通しは事実関係、証拠、保険会社の対応、期限によって変わります。
公的な制度資料と法令の土台
This source section links the public materials behind this NSW CTP guide. このページの実務説明を補強する公的ソースです。個別助言の代わりではありませんが、制度の原典を確認したいときに役立ちます。

先に確認したい質問
This section answers the main practical questions raised by this guide. まず読者が迷いやすい実務上の疑問を、詳細な説明に入る前に短く整理します。
共同過失があると, 医療費や治療費はすぐ止まりますか?
通常は直ちに全停止とは限りません。初期の法定期間では給付が続くことが多い一方, 52週以降は過失割合や mostly at fault 評価によって継続条件が変わります。
シートベルト不着用と言われたら, 25%や30%などの割合は固定ですか?
自動的に固定とは限りません。警察資料, 初期医療記録, 受傷部位, 事故機序を照合し, 本当に傷害拡大に結び付いたかを検討する必要があります。
共同過失はWPIの数字にも影響しますか?
影響しません。WPIは医学的な恒久障害評価で, 共同過失は法的な責任割合です。ただし最終の金銭回収額には共同過失割合が反映されます。
共同過失とは何か
交通事故では, 常に一方だけが100%悪いとは限りません。負傷した側の行動が, 事故の発生や受傷の重さに一定程度影響したと評価されると, NSW CTPではそれを 共同過失 と呼びます。
重要なのは, 共同過失は「少し悪かった」という曖昧な評価ではなく, 割合 で扱われることです。たとえば相手車両の信号無視が主因でも, シートベルト不着用が傷害拡大に影響したと判断されれば, その分だけ自分側の割合が認定されることがあります。
NSW CTPで過失割合はどう判断されるか
通常, まず保険会社が事故を調査し, 責任割合を判断します。見る資料は幅広く, 単一の書類だけで決まるわけではありません。
- 警察記録, 事故状況報告書, 現場写真
- 目撃者供述, 当事者供述, ドライブレコーダーやCCTV
- 救急, 病院, GPの初期記録
- 飲酒, 薬物, シートベルト, ヘルメットに関する資料
- 車両損傷や事故機序を示す客観資料
保険会社があなたに共同過失があると考える場合, 通常は書面で通知し, どの行為を理由にしているかを示します。争うときは, その理由を1つずつ分解して反論する必要があります。
共同過失が週次給付や治療費に与える影響
Motor Accident Injuries Act 2017 のもとでは, 共同過失は法定給付の流れに直接影響します。
- 事故後の初期期間: 重い運転違反がない限り, 多くの事案では最初の法定期間中, 誰にどれだけ過失があるかにかかわらず一定の給付が進みます。
- 52週以降: ここから差が大きくなります。保険会社があなたを wholly or mostly at fault と評価するか, 共同過失割合を高く見積もるかによって, 週次給付の継続, 減額, 停止の判断に影響します。
つまり, 共同過失の数字は単なる抽象論ではなく, 次の支払いがどうなるかに関わる実務問題です。
共同過失が損害賠償額に与える影響
重い傷害で common law damages の請求経路に進める場合, 共同過失割合は最終金額をそのまま減らします。
たとえば損害額全体が大きい事案では, 10%や15%の差でも実際の受取額はかなり変わります。したがって, 共同過失の争点は WPI, threshold, 逸失利益, NEL と同じくらい重要に扱う必要があります。
共同過失が問題になりやすい典型例
以下のような場面では, 保険会社が共同過失を主張しやすくなります。
- シートベルト不着用: 傷害拡大との関係で強く主張されやすい典型例です。
- ヘルメット不着用: バイクや自転車では重要な争点です。
- 飲酒や薬物関連: 自分が運転していた場合だけでなく, 酩酊した運転者に同乗した場合も問題になります。
- 道路交通ルール違反: 歩行者の飛び出し, 信号無視, 速度超過, 不適切な進路変更などです。
ただし, 典型例に当たるからといって自動的に高率の共同過失が確定するわけではありません。事故機序と受傷結果の因果関係を具体的に点検する必要があります。
共同過失の主張を争う流れ
共同過失争点で特に重要になりやすい証拠
共同過失は, 一般的な抗議ではなく, 保険会社の具体的主張に対してどの証拠を当てるかで決まりやすいです。実務上は次の証拠が重くなります。
- 事故責任資料: 警察記録, 目撃者供述, 現場写真, ドラレコ, 車両損傷, 再現資料。
- 受傷因果資料: シートベルトやヘルメット, 飲酒, 歩行行動が本当に傷害の重さを変えたのかを説明する医療資料。
- 整合性資料: 救急, 病院, GP, 専門医の記録が事故直後の説明と矛盾していないか。
- 決定連動資料: 保険会社決定書, 内部レビュー申請, その後の往復文書を整理し, 何がまだ争点なのかを明確にすること。
共同過失の反論を弱くしやすい失敗
不利な割合通知を受けた最初の14日でやること
共同過失を示唆する通知を受けた直後の2週間は重要です。資料の質でレビュー結果が大きく変わることがあります。
- 主張をそのまま抜き出す: 決定書の文言をそのまま整理し, 1項目ずつ反論できる表を作る。
- 初期記録を確保する: 救急, 救急外来, 初診GPの記録を先に集める。
- 時系列を1枚にする: 事故経過, 受傷機序, 受診経過を出典つきでまとめる。
- 実害を示す: その割合認定で, 週次給付, 治療承認, 勤務能力評価に何が起きているかを明記する。
- PICを見据えて提出する: いま作る内部レビュー資料を, 後でPICでも使える構成にしておく。
レビュー期限まで7日未満しかない場合
期限が近いなら, 完璧な資料が揃うまで待たない方が安全です。まずは権利保全のために中核提出を行い, その後に補充資料を追加する方法があります。
- 1日目: 争っている割合と主要理由を示した簡潔な内部レビュー申請を出す。
- 2日目から4日目: 警察資料, 救急記録, 重要な写真や動画, 短い時系列表を付ける。
- 5日目から7日目: 遅れて入る専門医意見や証人資料を, 争点ごとに索引化して補充提出する。
この方法なら, 期限徒過を避けつつ, 後から資料の精度を上げられます。
なぜ客観資料が重要か
共同過失争点では, 感覚的な説明より客観資料が重く見られます。事故再現, 追加の証人供述, 動画確保, 医学的説明の補強が必要になることもあります。
このページは一般情報であり, 個別の法的助言ではありませんが, 割合が高く認定されている案件ほど, 早期に争点整理と資料設計を行う価値があります。
よくある質問
- 共同過失があると, 医療費や治療費はすぐ止まりますか?
- 通常は直ちに全停止とは限りません。初期の法定期間では給付が続くことが多い一方, 52週以降は過失割合や mostly at fault 評価によって継続条件が変わります。
- シートベルト不着用と言われたら, 25%や30%などの割合は固定ですか?
- 自動的に固定とは限りません。警察資料, 初期医療記録, 受傷部位, 事故機序を照合し, 本当に傷害拡大に結び付いたかを検討する必要があります。
- 共同過失はWPIの数字にも影響しますか?
- 影響しません。WPIは医学的な恒久障害評価で, 共同過失は法的な責任割合です。ただし最終の金銭回収額には共同過失割合が反映されます。
- 歩行者でも共同過失を認定されることはありますか?
- あります。たとえば不適切な横断, 信号無視, 高度の酩酊などが争点になることがあります。ただし具体的事情次第で割合は大きく変わります。
- 警察から違反切符や起訴がなくても, 保険会社は共同過失を主張できますか?
- はい。刑事処分の有無とCTPの民事上評価は別です。保険会社は balance of probabilities の観点から独自に共同過失を主張することがあります。
- 飲酒した運転者の車に同乗していた場合, 自分にも責任が及びますか?
- 運転者の酩酊を知っていた, または通常知り得たと評価されると, 自分の安全への配慮不足として共同過失が主張されることがあります。
- 未成年者でも共同過失を認定されますか?
- 子どもは成人と同じ基準では見られません。同年齢, 同程度の判断能力を前提に評価され, とても幼い子どもでは共同過失が認められにくいことがあります。
- 10%程度の共同過失でも争う価値はありますか?
- 事案によりますが, 賠償額が大きい案件では10%の差でも回収額に大きく響きます。証拠があるなら争う価値は十分あります。
- 最終的に過失割合を決めるのは誰ですか?
- 内部レビュー後も解決しなければ, PICや裁判所が最終的な判断主体になります。
- SIRAガイドラインがあれば, すべての場面で割合は機械的に決まるのですか?
- いいえ。一定の典型例はありますが, 実際の割合は個別事実, 因果関係, 当時の証拠の強さによって決まります。
- レビュー期限まで1週間もなく, まだ報告書が揃っていません。待つべきですか?
- 待たない方が安全です。まず期限を守るための中核提出を行い, 後から日付入りの補充資料を出す方が, 権利保全と証拠精度の両面で実務的です。