NSW CTP 週次給付が止まったとき, まず何を確認してどう争うか
週次給付が止まると生活費への影響がすぐ出ます。NSW CTPでは, 停止理由が52週/26週の法定打切りなのか, threshold injury や過失割合の判断なのか, 約78週時点の就労能力(earning capacity)判断なのか, それとも能力証明(COC), IME, 所得資料など手続面の問題なのかで, 集めるべき資料も見直し経路も変わります。大事なのは, 『なぜ止まったのか』を通知書の文言どおりに特定し, その理由に対応する証拠だけを順序立てて出すことです。
最初の結論
決定書を読んで停止理由を, 法定打切り, 就労能力判断, 手続不備の三つに分けてください。そのうえで, それぞれの理由に正面から当たる資料をそろえ, 期限を落とさずに Internal Review を出し, 必要ならPICに進むのが基本です。
クイックナビ
最初に押さえる7つの要点
- 2023年4月1日以降の事故では, 主として本人に過失があると判断された場合, または傷害が threshold injury とされた場合, 週次給付は通常52週で止まります。
- 2023年4月1日より前の事故では, 同じ類型でも26週で打ち切られるケースが多く, 事故日の確認が出発点です。
- 52週や26週を超えて給付が続いていても, 約78週で earning capacity の正式判断が行われ, ここで再び減額や停止が起こります。
- 能力証明(COC)の空白, IMEの欠席, 賃金資料や税務資料の未提出は, 実体論より前に給付停止の口実になりやすいです。
- 『元の仕事に戻れない』だけでは弱く, 実際に何時間, どんな姿勢, どんな通勤条件なら働けるのかという機能制限の具体化が重要です。
- 週次給付停止, PAWE, 治療承認, 就労能力は互いに関係しますが, 同じ文書に全部押し込むと論点がぼけやすくなります。
- 争いの期限は通知書と争点類型ごとに変わります。28日が多いものの例外があるので, 先に期限内申立てをしてから補充資料を出す方が安全なことが多いです。
このページをこう構成している理由
このページは、NSW CTPの論点をわかりやすく整理し、請求者が実際に直面しやすい争点を踏まえつつ、結果を誇張しない形で構成しています。
一般的な情報であり、個別の法的助言ではありません。見通しは事実関係、証拠、保険会社の対応、期限によって変わります。
このページの公的な背景
以下の公的資料は、このガイドの背景となる法制度と手続の枠組みを示しています。個別の助言に代わるものではありませんが、重要なルールや見直し経路を正しく理解する助けになります。
実務チェックリスト
ステップ1:停止理由を通知書どおりに切り分ける
52週/26週の法定打切りか, 78週の就労能力判断か, それともCOC・IME・所得資料の手続問題かを先に分類します。
ステップ2:理由ごとに必要証拠を組み直す
threshold や過失争点には分類と事実関係の証拠, earning capacity には機能制限と就労実態の証拠, 手続不備には欠落理由と補完資料を対応させます。
ステップ3:最初の14日で証拠の骨組みを作る
停止通知, COC, 主治医意見, 勤務実績, 賃金資料, insurer の理由一覧を1つの索引にまとめ, どの資料がどの争点に当たるか先に見える化します。
ステップ4:期限を落とさず Internal Review を出す
資料が全部そろっていなくても, まず期限内に申立てをして入口を確保し, 追加資料の提出予定を明記します。
ステップ5:Internal Reviewで解決しなければPICへ進む
どの争点をどの手続類型で出すべきかを整理し, 同じ証拠束をPIC向けに組み替えて提出準備を進めます。
52週/26週の打切り:事故日, 過失, threshold injury を先に確認
週次給付の停止で最も多いのは, 法律上の打切り点に到達したという理由です。ここで見られるのは痛みの強さそのものではなく, 事故日, 過失割合, そして傷害が threshold injury か non-threshold injury かという法的分類です。
2023年4月1日以降の事故では, 本人が wholly または mostly at fault と判断された場合, あるいは傷害が threshold injury のみとされた場合, 法定給付は通常52週で止まります。2023年4月1日より前の事故では, 旧ルールにより26週が問題になることが多いです。
この類型で争うなら, 『痛いから続けてほしい』では足りません。過失判断が誤っている理由, または threshold ではない医学的根拠を正面から出す必要があります。骨折, 神経症状, 認定されうる精神疾患など, threshold を超える論点があるならその証拠を早い段階で整理してください。
- 事故日を確認する
- 停止理由が過失なのか傷害分類なのかを分ける
- non-threshold を支える診療録, 画像, 専門医意見を点ではなく流れで示す
78週時点の就労能力判断:『働ける』とされた理由を具体的に崩す
初期の52週/26週の問題を超えても, 約78週で保険会社は earning capacity の正式判断を行います。ここでは, 以前の職場に戻れるかだけでなく, 市場全体で現実的にどんな仕事を安定してこなせるかが見られます。
保険会社は, 治療記録だけでなく, vocational assessment, rehabilitation notes, 復職提案, 通勤可能性, 座位や立位の耐性, 集中力, 疲労の持続時間などを使って『これだけ働けるはずだ』と判断します。短時間の試し勤務や一度の軽作業が, 継続的な稼働能力として誇張されることも珍しくありません。
反論では, 主治医や専門医に『できない』という抽象論ではなく, 1日何時間, 週何日, 何分ごとに姿勢変更が必要か, 通勤で悪化するか, 鎮痛薬や治療予定が労働継続性にどう影響するかまで書いてもらうと精度が上がります。復職を試したが続かなかった経緯, 症状悪化のタイミング, 回復に要した日数も重要です。
- 単発シフトは継続的 earning capacity と同じではない
- 4〜6週間の時系列で勤務実績と症状悪化を示す
- 主治医意見は『仕事名』ではなく機能制限で書いてもらう
手続上の停止:COCの空白, IME, 賃金・税務資料の欠落を放置しない
週次給付は, 実体論で負けたから止まるとは限りません。能力証明(COC)の期間に空白がある, IMEに合理的理由なく出席しなかった, 賃金記録や税務資料が不足している, 署名書類が未返送といった手続面だけで停止されることがあります。
このタイプでは, 争点は比較的はっきりしています。どの期間に何が欠けたのか, その理由は何か, いま何を補充できるのかを時系列で示し, 『もう一度給付判断をやり直せる状態になった』ことを伝える必要があります。
たとえば COC が数日切れているなら, その空白がなぜ起きたか, 後日作成された証明でどこまで埋められるかを確認します。IMEなら, 体調悪化, 通知不足, 通訳手配, 日程変更要請など合理的事情があったのかを記録化し, 代替日への出席意思を示す方が前に進みやすいです。
- COCは開始日と終了日に空白がないか確認する
- IME不参加には理由資料と再調整希望を添える
- 賃金資料, 税務資料, 雇用記録は一覧化して不足を埋める
最初の14日:止まった直後に何を先に固めるか
週次給付停止の争いは, 最初の2週間でファイルの見え方がかなり変わります。まず insurer の停止通知, 直近の COC, 主治医の診療記録, 給与明細や tax return, 復職提案や勤務実績, IME 通知の有無を1か所に集めてください。
そのうえで『停止理由』『反対する理由』『使う証拠』『まだ不足している資料』を1ページ表にします。これがあるだけで, Internal Review でも PIC でも論点がぶれにくくなります。
期限が近い案件では, 完璧な報告書待ちより, 先にこの骨組みを作って権利保全の申立てを行い, 追加資料の提出予定日を明示する方が実務的です。
- 停止通知と理由一覧を最前列に置く
- 不足資料は『何を, いつまでに補うか』まで書く
- 最初の申立てからPICでも使える索引形式にしておく
争いの流れ:Internal ReviewからPICまで, 同じ資料を使い回せる形で組む
停止通知が届いたら, まず決定理由を一文ずつ読み, その文に反対する証拠を一対一で対応させます。『全部おかしい』という出し方より, 『この理由にはこの資料』と紐付ける方がInternal ReviewでもPICでも通りやすくなります。
Internal Review では, 争点を増やしすぎず, 停止理由に集中した申立書と証拠目録を出す方が効果的です。資料が未完成でも期限内に出しておき, 追って専門医意見や追加記録を補うやり方が現実的です。
Internal Review で解決しなければ, 次は PIC の適切な争点類型に進みます。そこで役立つのは, すでに作っておいた時系列表, 診療記録の要点表, 勤務試行の経過表, 保険会社の理由と反証一覧です。通知書の期限と類型を優先し, 28日が多くても一律ではない点に注意してください。
- 決定理由と反証資料を一対一で対応させる
- 期限内申立てを先に出し, 不足資料は追完予定を明記する
- PICに進んでも使える証拠目録と時系列表を最初から作る
PAWE, 治療, 就労能力を一つの文書に混ぜない理由
週次給付停止の背景に, PAWE の低算, 治療拒否, 就労能力判断が同時に並んでいることは珍しくありません。ただし, 同じ封書に複数の理由が書かれていても, こちらも一つの長文で全部争うと, どの法的テストを争っているのか見えにくくなります。
たとえば PAWE は事故前収入の基礎額, 週次給付停止は継続支払の理由, 治療拒否は医療必要性, earning capacity は就労可能性が中心です。必要資料も判断枠組みも違うので, 分けて整理した方が reviewer に伝わります。
日本語ページでも英語原頁と同じく, まず停止理由を明確にし, 関連争点は別ページへ分岐させる構造の方が, claimant にとっても次の動きが分かりやすくなります。
- PAWE は収入計算の争点として分ける
- 治療拒否は医療ルートとして分ける
- earning capacity は機能制限と就労市場の争点として分ける
次にどのページへ進むべきか
停止理由が threshold injury や過失なら, まず傷害分類と責任のページを確認してください。78週の就労能力判断が中心なら, capacity for work dispute の日本語ページで機能制限証拠の組み方を先に固める方が効率的です。
週額そのものが低すぎるなら PAWE ページ, 治療拒否が背景にあるなら treatment や IME のページ, 内部見直しの出し方で迷うなら Internal Review ページへ進むと, 停止争点を分解しやすくなります。
このページは入口として使い, 自分の停止理由に一番近い分岐へ早めに移るのが実務的です。
よくある質問
争いに勝てば, 止められていた期間の週次給付は遡って支払われますか。
多くのケースでは, Internal Review や PIC で停止決定が覆ると, 本来支払われるべきだった期間について遡及支払が問題になります。ただし, 実際の範囲は決定理由, 期間, 補充資料の内容によって変わります。
threshold injury と言われたら, もう週次給付は戻りませんか。
そうとは限りません。threshold injury の分類自体や過失判断を争って修正できれば, 52週打切りの前提が崩れ, 給付やその後の請求経路が開く可能性があります。
78週前にそろえるべき資料は何ですか。
連続した COC, 主治医と専門医の機能制限意見, 復職や短時間勤務を試した記録, 賃金資料, リハビリや職業評価の内容に対する反論材料を一つの束にまとめるのが実務的です。
通知書に28日と書かれているが, 報告書がまだ足りません。待ってから出すべきですか。
通常は待たない方が安全です。まず期限内に申立てをして, 何を追加提出する予定かを明記し, 追って専門医意見や診療録を補う方が, 入口自体を失わずに済みます。
弁護士は必須ですか。
必須ではありませんが, 過失, threshold injury, earning capacity の争点は法的にも医学的にも細かく, 証拠の組み方で結果が変わりやすいので, 早い段階で助言を受ける意味は大きいです。
保険会社から『短時間の単発シフトに入れたのだから普通に稼げる』と言われました。それだけで止まりますか。
それだけで自動的に止まるわけではありません。単発の短時間勤務は, その日の限定的な耐性を示すにすぎず, 継続的に収入を得られる earning capacity の立証とは別です。4〜6週間の勤務時間, 症状悪化, 回復期間, 治療変更, 欠勤状況を時系列で示す方が反論しやすくなります。
COCが数日切れてしまった場合, その時点で完全に不利ですか。
不利になることはありますが, 直ちに終わりではありません。なぜ空白が生じたのか, その後どう補完したのか, 連続性をどこまで回復できるのかを整理して説明し, 必要なら医師側の補足資料を取ることが大切です。
週次給付停止, PAWE, 治療拒否が同じ通知書に書かれていました。1本でまとめて争ってよいですか。
通常は分けた方が安全です。週次給付停止は支払継続の理由, PAWE は基礎収入計算, 治療拒否は医療必要性という別の論点なので, 同じ文書に全部詰め込むと各争点の法的テストがぼやけます。まず主争点を止められた理由から切り出し, 関連争点は別資料や別ページに分岐させる方が伝わりやすくなります。
本ページは一般的情報であり, 個別の法律助言ではありません。