Kojic v NRMA [2026] NSWPIC 13:歩行者が wholly or mostly at fault とされた理由
Kojic v Insurance Australia Limited t/as NRMA Insurance [2026] NSWPIC 13 は、歩行者事故で保険会社が「全部または大部分の過失あり」と主張し、NSW CTP の継続的 statutory benefits を止めようとする場面で重要な PIC 決定です。

このページは日本語での一般情報です。結論を曖昧にすると危険なので、先に正確に述べます。PIC は本件で、請求者である歩行者が s 3.28 の目的上 wholly or mostly at fault(全部または大部分の過失あり) だったと判断しました。ただし、別の歩行者事故でも同じ結論になるとは限りません。重要なのは、保険会社がその結論をどの事実から導いているかを分解し、証拠で検証することです。
先に答え:Kojic の実務上の意味
Kojic は「歩行者だから必ず守られる」という案件ではありません。大きな道路、信号付近、横断場所、注意散漫、運転者の回避可能性がそろうと、PIC は歩行者側の過失を非常に重く見ることがあります。特に s 3.28 の継続給付停止争点では、保険会社がこの判例を使って weekly payments や treatment support の終了を主張する可能性があります。
反対に、Kojic は「信号を使わなかったら自動的に負ける」という判例でもありません。道路の見通し、車両速度、運転者の注意義務、目撃者、CCTV、警察記録、救急記録、事故後説明の一貫性によって、分析は変わります。
何が起きた事件か
請求者は Drummoyne の Victoria Road 付近で道路を横断中、車両に衝突されました。保険会社は、請求者が unsafe place(危険な場所)で横断し、近くに traffic lights(信号)があったにもかかわらずそれを使わず、携帯電話などで注意をそらし、proper lookout(適切な見張り)をしていなかったとして、継続的な statutory benefits について責任を否定しました。
PIC は、単に「歩行者が道路を横断していた」という一般論ではなく、横断地点、信号との距離、道路の幅、交通状況、歩行者の注意、運転者側の状況を総合して判断しました。その結果、s 3.28 の目的上、請求者は wholly or mostly at fault だったとされました。
PIC が重視したポイント
- 主要道路である Victoria Road をどこで横断したか。
- 信号や安全な横断場所が近くにあったか。
- 携帯電話などによる distraction(注意散漫)があったか。
- 歩行者が車両を十分に見ていたか、proper lookout があったか。
- 運転者が法定速度や通常の注意で走行していたか。
- 運転者が衝突を現実的に避けられたか。
ここで大切なのは、保険会社の結論を「不公平だ」と言うだけでは足りないことです。どの事実が証拠で確認でき、どの部分が推測にすぎないかを分ける必要があります。
Evic との関係
Kojic では AAI v Evic の考え方も重要でした。Evic は、wholly or mostly at fault の評価で、単に誰かに不注意があったかを見るだけではなく、その不注意が事故にどの程度寄与したか、他方当事者の行動はどうだったかを検討する流れを示しています。
そのため、歩行者案件でも「歩行者にミスがあった」だけで終わりではありません。道路環境、運転者の速度、見通し、制動可能性、衝突位置などを含めて、事故全体の過失評価を行います。
保険会社が使いやすい主張
- 信号が近かったのに使わなかった。
- 広い道路を危険な角度・場所で横断した。
- 携帯電話や会話で注意がそれていた。
- 車両が十分見えるはずだった。
- 運転者側には避ける時間がなかった。
Internal Review / PIC 提出前の実務チェック
- 事故前後10分の時系列を作り、横断開始、車両発見、衝突、救急・警察対応を分ける。
- 横断地点、車線数、信号距離、視界、照明、交通量を写真・地図・図で整理する。
- 警察資料、救急記録、救急搬送記録、病院初診記録、目撃者情報、CCTV照会履歴を保存する。
- 保険会社の主張を「証拠で確認できる事実」と「推測・評価」に分ける。
- weekly payments や treatment が止まるなら、内部レビュー(Internal Review) の期限を先に固定する。
- 内部レビューで維持された場合に備え、Personal Injury Commission(PIC) で使う証拠表を同時に作る。
請求者側の実務的な読み方
Kojic のような判例が引用されたとき、請求者側で一番弱くなるのは、保険会社の結論だけを否定して、事故場面を再構成していない場合です。PIC は抽象的な不満より、横断位置、見通し、速度、注意、回避可能性のような具体的事実を見ます。
そのため、事故後早い段階で資料を集めることが重要です。特に CCTV は保存期間が短いことがあり、目撃者記憶も時間とともに弱くなります。もし保険会社が wholly or mostly at fault を理由に給付停止を示唆しているなら、証拠保全とレビュー期限の管理を同時に進めるべきです。
判決原文: Kojic v Insurance Australia Limited t/as NRMA Insurance [2026] NSWPIC 13。
よくある質問
- Kojic v NRMA [2026] NSWPIC 13 では何が決まったのですか。
- Personal Injury Commission(PIC)は、s 3.28 の目的上、請求者である歩行者が事故について wholly or mostly at fault(全部または大部分の過失あり)だったと判断しました。横断場所、信号との距離、携帯電話による注意散漫、適切な見張りをしていたかが重視されました。
- 信号付近で横断したら、必ず給付停止になりますか。
- 必ずではありません。Kojic は結果として不利な判断でしたが、すべての歩行者案件が同じになるわけではありません。道路状況、信号距離、視界、車両速度、運転者の回避可能性、目撃証拠、CCTV、警察資料などを個別に確認する必要があります。
- なぜ Evic が関係するのですか。
- Kojic では、AAI v Evic で示された「wholly or mostly at fault」の評価枠組みが参照されました。つまり、単に違反や不注意があったかではなく、事故への寄与、相手方の運転、回避可能性、全体の過失割合を見て判断します。
- 保険会社がこの判例を引用して給付を止めようとしたら、最初に何をすべきですか。
- まず決定通知を読み、保険会社が s 3.28、weekly payments、treatment、liability のどの判断に Kojic を使っているのか分けます。次に、横断地点、信号距離、車線、視界、運転者の反応可能性、客観資料を時系列で整理し、期限内に internal review(内部レビュー)へ進む準備をします。
- 専門医レポートや事故再現資料が遅れている場合、レビュー提出を待つべきですか。
- 多くの場合、期限内提出を優先し、現時点の客観資料と時系列で骨子を出したうえで、補充資料の提出予定を明記する方が安全です。期限を逃すことは、資料が1つ遅れていることより大きな不利益になり得ます。
- このページは法律助言ですか。
- いいえ。これは NSW CTP と PIC 判例に関する一般情報です。あなたの事故で wholly or mostly at fault と言えるか、どのレビュー期限があるか、PIC にどう出すかは、決定通知、事故証拠、医療・就労資料、期限によって変わります。