No Win No Feeで本当に見るべきなのは、費用の言い方ではなく最終的な手取りです
NSW CTP では、No Win No Fee を安全に評価するには、案件の段階、法定の費用保護、第三者費用、そしてその案件が内部レビューや PIC に進む可能性まで一緒に見なければなりません。
一般的な情報のみです。実際の費用は、あなたの書面契約、争点の種類、案件の進行状況により変わります。
先に結論:請求が成功しなければ、本当に何も払わなくてよいのですか?
- No Win No Fee は通常、弁護士の専門報酬に関する条件であり、すべての費用免除を意味しません。
- 医師意見書などの第三者費用は、契約で別に扱われることがあります。
- NSW CTP の多くの争点では、弁護士費用は法令により固定または上限化されています。
- $75,000 以下の common law damages では、契約で法定保護を外すことは原則として認められません。
- 現実の費用リスクは、保険会社レビュー、PIC、threshold/WPI、damages のどの経路を通るかで決まります。
1)CTPにおける No Win No Fee の基本構造
一般には conditional costs agreement を意味し、請求が成功した場合にのみ弁護士の専門報酬が発生します。和解や裁定に至らなければ、その専門報酬を請求しない、というのが基本です。
ただし、disbursements(第三者費用)は別問題です。専門医意見書、診療記録、必要な調査、場合によっては barrister 費用などは、書面契約上どのように扱うかを必ず確認する必要があります。安全な判断は、弁護士報酬と第三者費用を分けて読むことから始まります。
2)$75,000保護ルールが重要な理由
《Motor Accident Injuries Regulation 2017》は、NSW CTP における弁護士費用に重要な制限を設けています。その中でも実務上とても大切なのが、比較的小さな damages 案件で依頼者の手取りを守る仕組みです。
- $75,000保護:damages の和解額または裁定額が $75,000 以下なら、まずその範囲の賠償を守る考え方が働きます。
- contracting out の制限:このクラスの案件では、弁護士が規制上限を超える solicitor-client costs を負担させるような契約にすることは、原則としてできません。
- 目的は手取りの保護:「無料」を約束する制度ではなく、少額案件で弁護士費用が賠償金を食い過ぎないようにする制度です。
したがって、費用を検討するときは「成功時のみ請求ですか?」に加えて、「低額解決になった場合にも法的保護が働くのか?」を確認する必要があります。
3)statutory benefits、内部レビュー、PIC では費用の見方が変わる
依頼者が誤解しやすいのは、すべての CTP 費用を同じルールで考えてしまうことです。実際には、争点の類型により費用の構造はかなり変わります。
週次給付、治療、一定の手続争点などの statutory benefits 紛争では、Regulation により弁護士費用が固定または上限化されることが多く、争いに成功した場合は保険会社が一定の費用負担をすることもあります。PIC に進むと、review、merit review、medical assessment、damages のどのルートかで、必要な準備と費用の姿勢も変わります。
つまり、費用の相談は「契約書だけ」の話ではありません。今が statutory benefits 段階なのか、内部レビューが先なのか、将来的に common law damages に進み得るのか、さらに threshold、WPI、PAWE、NEL が関わるのかまで含めて考える必要があります。
4)契約前に見ておくべき証拠コストと実務負担
費用リスクは、たいてい証拠の複雑さと一緒に動きます。立証が重い案件ほど、第三者費用も大きくなりやすくなります。
- 診療記録、治療経過、医師証明、専門医意見書をどこまで揃える必要があるか
- 週次給付や PAWE のために、給与明細、PAYG、BAS、税務資料、自営業資料が必要か
- 保険会社の停止通知、拒否通知、threshold、WPI、治療争点の文書がすでに出ているか
- PIC に進む可能性が高く、申立書、証拠索引、期限管理、追加の医学意見が必要になるか
単純な benefits の争いと、threshold injury、就労能力、PAWE、damages をまたぐ案件では、必要な作業量がまるで違います。No Win No Fee が妥当かどうかは、その作業量が案件価値と手取り結果に見合うかで判断すべきです。
5)No Win No Fee を比べるときによくある失敗
- キャッチフレーズだけを見る:広告文句だけでは、第三者費用、barrister 費用、医証費用、不成功時の扱いはわかりません。
- 争点経路を無視する:週次給付停止や治療拒否がすでに起きているなら、本当の論点は review と PIC をどう回すかです。
- 早すぎる和解:将来の治療、収入喪失、WPI、NEL が十分に評価される前の小さな和解は、見かけより不利なことがあります。
- 手取りで比較しない:「安く見える」ことと、最終的に依頼者に有利であることは別です。回収見込み、規制費用、証拠支出のバランスまで見なければなりません。
より実務的なのは、費用契約を実際の争点と結び付けて考えることです。たとえば週次給付停止、治療拒否、damages / NEL では、必要な作業も費用姿勢も変わります。
よくある質問
- No Win No Fee は「完全無料」という意味ですか?
- 必ずしもそうではありません。通常は、請求が成功しなかった場合には弁護士の専門報酬を請求しない、という条件付費用契約を指します。ただし、医師意見書、診療記録の取得費用、調査費用、必要な barrister 費用などの第三者費用(disbursements)は、書面契約で別に扱われることがあります。
- なぜ NSW CTP の費用は宣伝文句だけでは判断できないのですか?
- 費用リスクは、争点の種類と進行経路に左右されるからです。週次給付の停止、治療拒否、threshold/WPI 争い、内部レビュー、PIC 申立て、さらに common law damages 段階では、適用される費用ルールが同じではありません。表面的には同じ No Win No Fee でも、実際の手取りは大きく変わり得ます。
- $75,000保護ルールは何を守るのですか?
- common law damages で和解額または裁定額が $75,000 以下の場合、弁護士が規制上限を超える solicitor-client costs を負担させる形で contract out することは、原則として認められていません。小さめの損害賠償案件で、賠償金の大部分が依頼者に残るよう守るためのルールです。
- statutory benefits の争いと damages では費用ルールは同じですか?
- 同じではありません。週次給付や治療、一定の手続争点など、多くの statutory benefits 紛争では《Motor Accident Injuries Regulation 2017》により弁護士費用が固定または上限化されています。争いに成功した場合には、保険会社が一定の費用負担を求められることもあります。damages 案件と同じ感覚で見ると誤りやすい部分です。
- 契約前に、最低限どこを確認すべきですか?
- 少なくとも、(1) 弁護士報酬と第三者費用がどう区別されているか、(2) PIC や内部レビュー、追加医証が必要になったときの費用処理、(3) 早期解決した場合の実際の手取り見込み、(4) 途中終了または不成功のときに既発生費用を誰が負担するのか、の4点は確認しておくべきです。