要点
PAWE(Pre-accident Weekly Earnings)は、NSW CTP 請求で週次給付を計算するための事故前平均週収入です。保険会社の PAWE が低すぎると、毎週の支払額も低くなり、後の内部レビューや PIC Merit Review でも争点が複雑になります。このページは、まず何を見るべきか、どの証拠をそろえるべきか、どの経路で争うべきかを日本語で整理します。一般情報のみで、個別法的助言ではありません。
このガイドの考え方
This guide explains NSW CTP deadlines, evidence, insurer decisions and dispute pathways in plain language. このページは、NSW CTPの期限、証拠、保険会社対応、紛争ルートを誇張せずにわかりやすく整理するために作られています。
一般的な情報であり、個別の法的助言ではありません。見通しは事実関係、証拠、保険会社の対応、期限によって変わります。
公的な制度資料と法令の土台
This source section links the public materials behind this NSW CTP guide. このページの実務説明を補強する公的ソースです。個別助言の代わりではありませんが、制度の原典を確認したいときに役立ちます。
先に確認したい質問
This section answers the main practical questions raised by this guide. まず読者が迷いやすい実務上の疑問を、詳細な説明に入る前に短く整理します。
NSW CTP の PAWE とは何ですか。
PAWE は Pre-accident Weekly Earnings の略で、事故前の平均週収入を意味します。NSW CTP 請求では、事故で働けなくなった、または勤務時間や収入が減った場合の週次給付の出発点になる数字です。
PAWE と PIAWE は同じですか。
同じではありません。PAWE は NSW CTP(Motor Accident)請求で使われる用語です。PIAWE(Pre-injury Average Weekly Earnings)は workers compensation で使われる近い概念ですが、根拠法、対象期間、計算ルール、争い方は別です。
PAWE は必ず 52 週平均で計算されますか。
必ずしもそうではありません。Motor Accident Injuries Act 2017 (NSW) の Schedule 1 では、標準的な 12 か月平均のほか、12 か月未満の継続就労、自営業、複数就業、事故前に収入構造が変わった場合など、事実に合う別の法定経路が問題になります。
PAWE とは何か:NSW CTP での意味
PAWE は Pre-accident Weekly Earnings の略で、事故前平均週収入を意味します。 NSW CTP では、事故で働けなくなった、または働ける時間・収入が減った場合、週次給付(weekly payments)を計算する出発点になります。
実務上の争点は「診断名」そのものではなく、どの収入が計算に入るべきか、どの期間を平均するべきか、どの Schedule 1 の法定経路が事実に合うかです。つまり PAWE 争いは、医療争点だけでなく、収入資料、雇用形態、事故前の勤務実態を数字で示す争いです。
先に答え:PAWE や週次給付が低すぎると感じたら何をするか
まず保険会社に PAWE worksheet(算定内訳表)を求め、給与明細、税務資料、契約書、ロスター、銀行記録、残業・手当・コミッションの資料と照合します。そのうえで、「保険会社の採用額」「修正すべき額」「証拠のページ」を並べた短い表を作ります。
保険会社が正式な PAWE 決定を出している場合、通常の第一歩は 内部レビュー(Internal Review) です。内部レビューで直らない場合、PAWE 算定争いは Personal Injury Commission (PIC) の Merit Review に進む可能性があります。
すべての不満を一つの長い文章にまとめないでください。PAWE 算定、週次給付の減額・停止、work capacity、治療争点、threshold injury は、関連していても別の判断軸です。たとえば支払停止や減額が絡む場合は、週次給付が止まった・減った場合のガイドも合わせて確認してください。
PAWE 争いの PIC 経路:Merit Review と別経路の切り分け
短く言うと:PAWE 争いは、多くの場合、保険会社の内部レビューから始まり、解決しなければ PIC の Merit Review に進む可能性があります。
ただし、決定書に複数の争点が混ざっているときは注意が必要です。PAWE は収入計算の争点ですが、治療の必要性、医学的評価、threshold injury、whole person impairment (WPI)、work capacity は別の手続経路になることがあります。決定書を読み、見出しを分けて、どの争点がどの経路に進むのかを先に整理してください。
13 週前後の interim payments や PAWE の遅れが絡む場合は、interim payments と PAWE 13 週問題を確認すると、worksheet、未提出収入資料、レビュー日、capacity や治療争点との切り分けがしやすくなります。
関連する手続確認として、PIC Merit Review と Medical Assessment の違い、PIC dispute resolution guidelines、CTP 争点別の経路マップも役に立ちます。
PAWE が週次給付にどう影響するか
週次給付は、PAWE を基礎にして、現在の収入、就労能力、請求の時期、法定上限などを踏まえて計算されます。一般的には次のような段階があります。
- 1 週目から 13 週目:多くのケースで PAWE の 95% が出発点になり、事故後に実際に得ている収入は控除されます。
- 14 週目から 52 週目以降:状況により 80% または 85% など、就労能力評価と結びついた計算に移ります。
PAWE が週 100 ドル低く計算されるだけでも、数か月単位では大きな差になります。だからこそ、最初の worksheet と証拠照合を軽く扱わない方が安全です。
Schedule 1:PAWE は 52 週平均だけではない
PAWE は Motor Accident Injuries Act 2017 (NSW) の Schedule 1 に基づいて決まります。よくある「事故前 12 か月の平均」は重要ですが、それだけが唯一の方法ではありません。
- 標準経路(Sch 1 cl 4(1)):事故直前 12 か月の関連 gross earnings を週平均で見る経路です。
- 12 か月未満の継続就労(Sch 1 cl 4(2)):事故前に 52 週の連続収入がない場合、別の平均期間が問題になります。
- 自営業・請負:請求書、BAS、税務資料、銀行記録、契約書、必要経費を照合し、単なる売上ではなく実際の稼得能力を説明する必要があります。
- 事故前に収入構造が変わった場合:昇進、転職、勤務時間の増加、複数就業の開始などがあると、単純な過去平均では不公平または不正確になることがあります。
実務で大切なのは、「52 週平均かどうか」だけではなく、あなたの事故前の働き方にどの法定経路が合うかを先に決めることです。
保険会社の PAWE 算定を争う手順
保険会社の PAWE が低すぎると感じる場合は、感情的な説明よりも、数字と証拠を対応させる方が効果的です。
- 算定内訳を取り寄せる:対象期間、採用収入、除外収入、平均方法、保険会社の理由を確認します。
- 収入証拠をそろえる:給与明細、税務資料、雇用契約、ロスター、銀行記録、残業・手当・コミッション資料、自営業資料を時系列で並べます。
- 争点タイプを分ける:PAWE、weekly payments、work capacity、医学的争点、治療争点を同じ見出しに混ぜないようにします。
- 内部レビューを申し立てる:「どの項目が抜けたか」「どの Schedule 1 経路が正しいか」「どの証拠がそれを示すか」を表と短い説明で示します。
- 必要なら PIC に進む:内部レビューで直らない場合、PAWE は Merit Review の対象になる可能性があります。最初から PIC でも読みやすい証拠索引を作っておくと後で楽になります。
14 日以内の実務メモ:決定書を受け取ったら、最初の 14 日で worksheet、修正比較表、重要証拠、未提出資料リストをまとめてください。期限が迫る場合は、完璧な資料を待たずに権利保全用のコア資料を先に提出します。
PAWE の計算例やケースの考え方として、Allianz v Shahmiri の PAWE 12 か月平均ケースノート や Wade v QBE の自営業 PAWE ケースノート も参考になります。
よくある PAWE 誤算定とチェックポイント
PAWE 争いでよく出る問題は、次のようなものです。
- 残業・手当・シフト加算の除外:基本給だけを採用し、継続的に得ていた追加収入が抜ける。
- 事故前の転職や昇進の無視:収入が明らかに変わっていたのに、古い平均で押しつぶされる。
- 複数就業の一部だけ採用:二つ以上の仕事があったのに、一つの収入だけで計算される。
- 自営業収入の過小評価:売上、経費、BAS、税務申告、銀行記録、契約関係が十分に照合されない。
- PAWE と work capacity の混同:収入計算の争いと、今どれだけ働けるかという争いが一つの理由に混ざる。
こうした問題は、就労能力(work capacity)争点、週次給付停止・減額、内部レビューと一緒に整理すると、提出書面が読みやすくなります。
強い PAWE 争いの証拠パックはどう見えるか
PAWE 争いは「もっと払ってほしい」という主張ではなく、「この法律上の計算に、この証拠を入れると、この数字になる」という説明に近いです。最低限、次のような構成を考えてください。
- 保険会社の決定書と PAWE worksheet。
- 事故前の収入を示す給与明細、税務資料、契約、ロスター、銀行記録。
- 残業、手当、コミッション、複数就業、自営業収入を示す補助資料。
- 「保険会社の数字」「修正数字」「根拠資料」を並べた 1〜2 ページの比較表。
- PAWE と work capacity、治療、医学的評価が混ざっている場合は、争点別の見出し。
この構成なら、内部レビュー担当者や PIC の Merit Review で、何を直してほしいのかが比較的早く伝わります。
早めに相談した方がよい場面
自営業、複数就業、事故前の転職・昇進、現金収入、家族事業、週次給付停止、work capacity 争点、または内部レビュー期限が迫っている場合は、PAWE の整理が一気に難しくなります。
日本語で状況整理が必要な場合は、お問い合わせページから相談できます。決定書、PAWE worksheet、手元の収入資料を先にまとめておくと、次に何を争うべきか判断しやすくなります。
よくある質問
- NSW CTP の PAWE とは何ですか。
- PAWE は Pre-accident Weekly Earnings の略で、事故前の平均週収入を意味します。NSW CTP 請求では、事故で働けなくなった、または勤務時間や収入が減った場合の週次給付の出発点になる数字です。
- PAWE と PIAWE は同じですか。
- 同じではありません。PAWE は NSW CTP(Motor Accident)請求で使われる用語です。PIAWE(Pre-injury Average Weekly Earnings)は workers compensation で使われる近い概念ですが、根拠法、対象期間、計算ルール、争い方は別です。
- PAWE は必ず 52 週平均で計算されますか。
- 必ずしもそうではありません。Motor Accident Injuries Act 2017 (NSW) の Schedule 1 では、標準的な 12 か月平均のほか、12 か月未満の継続就労、自営業、複数就業、事故前に収入構造が変わった場合など、事実に合う別の法定経路が問題になります。
- 保険会社の PAWE 算定が低すぎると感じたら、最初に何をすべきですか。
- まず保険会社に PAWE worksheet(算定内訳表)を求め、給与明細、税務資料、契約書、ロスター、銀行記録、残業や手当の資料と照合します。そのうえで「保険会社の数字」と「修正すべき数字」を短い比較表にして、内部レビュー(Internal Review)で争点ごとに提出します。
- PAWE 争点は PIC のどの経路に進みますか。
- 多くの PAWE 算定争いは、まず保険会社の内部レビューを経て、解決しなければ Personal Injury Commission (PIC) の Merit Review に進む可能性があります。ただし、同じ決定書に治療、医学的評価、work capacity、threshold injury が混ざる場合は、争点ごとに経路を分けて確認する必要があります。
- PAWE と週次給付(weekly payments)は同じものですか。
- 同じではありません。PAWE は事故前収入を示す基礎数字です。週次給付は、その PAWE、事故後の実収入、就労能力(work capacity)、請求の時期、法定上限などを使って計算される支払額です。
- 保険会社が PAWE と work capacity を一つの決定書で扱っている場合はどうしますか。
- 同じ書面に入っていても、PAWE は収入計算の争点で、work capacity は就労能力に関する別の争点です。返答書では見出しを分け、PAWE については収入項目と証拠、work capacity については医学資料・職務内容・機能制限を別々に整理する方が安全です。
- 内部レビュー期限まで 7 日未満で、資料が全部そろっていない場合はどうしますか。
- 期限を失うより、先に権利保全用のコア資料を提出する方が安全です。決定書、PAWE worksheet またはその請求、短い修正比較表、手元にある最も強い収入証拠を提出し、不足資料と提出予定日を同じ書面に明記します。
- 自営業や請負収入の PAWE はどう証明しますか。
- 単なる売上額だけでは足りないことがあります。請求書、BAS、税務申告、銀行記録、契約書、継続案件の資料、必要経費の扱いを時系列で並べ、どの金額が事故前の稼得能力を示すのかを説明する必要があります。
- PAWE の誤算定は本当に大きな差になりますか。
- なり得ます。PAWE は週次給付の出発点なので、基礎額が低いと、1 週目から 13 週目、その後の 14 週目以降、場合によっては長期の支払額まで連鎖的に低くなります。早い段階で worksheet と証拠を照合する意味は大きいです。