Allianz v Shahmiri [2022] NSWSC 481:PAWE は clause 4(1) では事故前12か月全体で平均する
この NSW CTP 判例は、事故前に働いていない期間がある場合でも、MAIA Schedule 1 clause 4(1) の PAWE 平均期間が「実際に働いた週」へ自動的に短くならないことを示しています。
一般情報であり、法的助言ではありません。実際の PAWE は、適用される MAIA の条項、事故前の就労状況、収入資料、保険会社や PIC での争点の立て方によって変わります。
結論を先に
Allianz v Shahmiri は、NSW CTP の PAWE で「働いた週だけで平均すればよい」とは限らないことを明確にした重要判例です。Schedule 1 clause 4(1) がそのまま適用される場面では、事故直前12か月全体を使って平均します。
したがって、事故前の1年に失業期間、転職の空白、短期就労の期間がある人は、まず「どの条項で計算されているか」を確認する必要があります。保険会社の PAWE が低く見えても、争点は単なる fairness ではなく、条項選択、対象期間、証拠の整合性です。
何が起きたのか
申立人は 2020年10月24日の事故で負傷しました。事故前の1年には、働いていた期間と、その後の失業期間がありました。争いは、pre-accident weekly earnings(PAWE)を事故前52週全体で割るのか、それとも実際に働いた週だけで割るのかでした。
保険会社は12か月全体を分母にして計算しました。一方、Merit Reviewer と Panel の多数意見は、実働週を中心に見るアプローチを取りました。Allianz はその法的読み方に誤りがあるとして judicial review を求めました。
この違いは、週次給付の額に直接影響します。働いていない週を分母に含めると、同じ総収入でも PAWE は低くなります。
裁判所が重視した読み方
Harrison AsJ は、Panel の多数意見には法的誤りがあると判断しました。中心となったのは、Schedule 1 clause 4(1) の “as an earner” という言葉の読み方です。
裁判所は、この表現を「PAWE に入る収入の種類」を限定するものと読みました。つまり、earnings として数えるべき収入かどうかを示す言葉であり、平均期間を実際に働いた週だけへ短縮する言葉ではない、という整理です。
裁判所はまた、Schedule 1 の構造も見ました。clause 4(2)(a) には、特定の事情で別の期間を使う規定があります。もし clause 4(1) だけで簡単に「働いた週だけ」に変えられるなら、このような別規定の意味が弱くなってしまいます。
NSW CTP 申立人への実務的な意味
- PAWE 争いでは、計算式の前に Schedule 1 のどの条項が使われるかを確認します。
- clause 4(1) が適用される場合、事故前12か月の中の非就労期間が分母に残ることがあります。
- 「その方が公平」という主張だけでは、明確な statutory text に勝ちにくいです。
- 収入資料は、給与明細、雇用契約、銀行入金、休職や失業期間の説明を時系列で整理する方が有効です。
- 別の例外規定を主張するなら、その条項に合う具体的な事実と資料が必要です。
結果
Supreme Court は Merit Review Panel の certificate を取り消し、Commission President に対して、法に従って再判断するよう差し戻しました。裁判所が PAWE 額を自分で最終計算したわけではありません。
このため、この判例は「すべての雇用空白で必ず PAWE が低くなる」という単純な結論ではありません。正しい読み方は、まず適用条項を確認し、clause 4(1) なら12か月全体の平均が出発点になる、というものです。
PAWE 証拠として整理したいもの
雇用の空白がある PAWE 争いでは、収入額だけを並べるより、事故前12か月の流れを再現できる資料が重要です。
- 事故前12か月をカバーする給与明細または収入記録
- 雇用開始日、雇用終了日、勤務形態が分かる書類
- 銀行入金、PAYG summary、雇用主からの確認資料
- 失業、転職、休職、病気休業など非就労期間の説明
- 保険会社の計算表と、自分側の計算表の差が分かる比較表
資料が不足している場合でも、まずはどの期間が争われているのかを固定してください。期間が曖昧なままでは、追加資料を出しても争点がぼやけます。
保険会社の計算に反論するときの注意点
反論では、結論の金額だけでなく、保険会社がどの条項、どの期間、どの収入資料を使ったのかを分解して確認します。Allianz v Shahmiri のように、争点が「何週間で平均するか」にあるなら、まず statutory basis を明確にする必要があります。
内部見直しや PIC では、PAWE 計算ガイド、内部見直し、PIC review 種別の比較を合わせて確認すると、争点を整理しやすくなります。
期限も重要です。決定書には通常、見直しや申立てに関する案内があります。具体的な期限は通知内容や手続によって変わるため、このページでは断定せず、受け取った書面を早めに確認することが安全です。
よくある質問
- Allianz v Shahmiri [2022] NSWSC 481 は何を判断しましたか。
- Supreme Court は、Motor Accident Injuries Act 2017(MAIA)Schedule 1 clause 4(1) が適用される場合、PAWE は事故前12か月全体で平均するのであり、実際に働いた週だけで平均するのではないと判断しました。
- clause 4(1) の “as an earner” はどう読まれましたか。
- この事件では、“as an earner” は PAWE に含める収入の種類を限定する表現であり、平均期間そのものを働いた週だけに短縮するものではないと整理されました。
- 雇用の空白がある申立人に重要なのはなぜですか。
- 事故前1年の中に働いていない期間があっても、clause 4(1) ではその期間が分母に残ることがあるためです。別の例外規定が使えない限り、PAWE が下がる可能性があります。
- 裁判所は PAWE の金額を自分で計算し直しましたか。
- いいえ。裁判所は Panel の判断を法的誤りとして取り消し、法に従って再判断するよう差し戻しました。
- 保険会社の PAWE 計算に納得できない場合、最初に何を見るべきですか。
- まず、どの Schedule 1 条項が使われたのか、対象期間は何か、どの収入が採用または除外されたのかを確認します。算数だけでなく、条項選択と証拠の時系列が争点になります。
判決ソース
Full judgment: Allianz Insurance Australia Limited v Shahmiri [2022] NSWSC 481。